海馬―脳は疲れない (新潮文庫)
東大で海馬について研究する科学者と糸井重里による対談集。
文中の記憶についての実験エピソードが印象的だった。
ある図を覚えるさまざまな年齢を対象とした実験で、見て覚える場合と描いて覚える場合の二通りのやり方をやったところ、16歳くらいまではどちらも同じ結果だったが、大人の年代は描いて覚えるとテスト成績が100点近くなったというもの。
これは、30歳を過ぎるとつながりを発見する能力が上がるからだそうだ。
手を動かしながら自分の知っているかたちに結びつけたり連想したりして、覚えていく作業が記憶をより容易にする。子供は結びつけたり連想したりできるサンプル(人生の経験)が大人に比べて少ないので見て覚えても描いて覚えても結果が変わらないとのこと。勇気づけられる一冊。